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Dedicated to favorite music

ある晴れた日の朝
僕は犬のジムを探して歩き回っていた

今日も暑くなりそうだった

「ゆう......くん?」
振り向くと長い髪の少女がいた
「みきだよ。覚えてる?」
顔がみるみる赤くなるのがわかった
たぶんジムは見つからないだろう

実希は変わっていなかった
相変わらずわがままで気まぐれだった
ただ時折見せる切なげな顔に
僕は見とれていた

実希はいろいろなものを欲しがった
そよ風の渡る高原や
夜空に瞬く星の光
嵐のときに隠れる家
「そしたら......」

次の日母親がジムを連れて探しにきた
僕らを見つけると
僕を実希から引き離し 地面にたたきつけた
「恥ずかしいとは思わないの!!」
僕らはくちづけをして別れた

数日後 実希が死んだと友達から聞いた
安らかな死に顔で
笑みさえ浮かんでいたという


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