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You told a fib

9月の雨が窓を濡らしている
僕は図書館でずっと彼女を見つめていた
彼女は窓際の席に座ってぼんやりと外を見ていた

ずっとそのままで
たまに長い髪をかき上げたり
紅の唇から魔法のような言葉を紡ぎ出すばかりだった

その瞳は何をうつしているのか
何を望んでいるのか
とても知りたくなった

声をかけるのは気が進まなかった
彼女はあまりに遠すぎた

いつも
彼女はいつもの場所にいて
用もないのに図書館に通うようになった

誰も彼女のことを気にしないのが不思議だった
彼女も僕に気づかず誰のことも目に入らないようだった

ある日勇気をふりしぼって
声をかけてみた

彼女は振り向いてほほえんでくれた
吸い込まれるような笑顔だった
そして小さな嘘をついた
たまらなくいとおしく
その肌や髪に触れたかった

別れ際 彼女はキスをくれた
かすかな香水の匂いが鼻をくすぐって終了のアナウンスが聞こえた

次の日彼女はいなかった
あれから見かけることはなくなった
それが当たり前のように日々は過ぎていった

いろいろなことがあって
先が見えなくなってしまっても
図書館は僕を呼び続けた


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