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夢見がちな列車

帰りが遅くなってしまった

誰もが疲れた顔で列車を待っている
にぎやかな笑い声が聞こえてきた
女子大生とおぼしき四人組が階段を下りてくる
あまりのかしましさにあたりの人々が一斉に視線を向けた

到着した列車に乗り込み
向かい合わせになるようにふたりずつ腰を下ろす
うちひとりはどことなく華やいだ雰囲気があり
ありがちな下品さやあかぬけなさを感じさせない
誰もするようなうわさ話に目を輝かせている

どうしてあんなに無邪気に笑えるのだろう
席は埋まっているのに誰もいないような気がしてくる

どこかの駅で多くの人々が降りていった
気がつくと車内はやけに静かになっている
顔を上げると席は空いていた
降りる瞬間を見逃したことを
少しだけ後悔した


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