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めんどくさがりのあなたに

いい話があるんだ。のってみないか?
―うさんくさいな。世の中に「うまい話」はないぞ。
おまえっていつもすり切れた服着てるよな。
―別にいいだろ。金がないんだよ。
新しい服ほしくないか?
―そりゃまあ。って、まさかくれるのか?
いや、実はすごい穴があるんだ。
―はあ!? それがどうした。
その穴に服を投げ込むと新品にしてくれるよ。
―ほんとかよ。あやしいな。
大丈夫だって。俺なんか洗濯がわりに投げ込んでいるからな。
―じゃあちょっと見せてくれよ。
そうこなくちゃ。こっち来てくれ。これだよ。
―小さすぎないか? それじゃビー玉も入らないぞ。
まあ見てなって。このジャケットをかざすと。
―おお、広がった。っていうかかなり気持ち悪いぞ。ほんとに大丈夫か?
大丈夫大丈夫。まあ何かおまえの服を貸してくれ。
―うーん、じゃあこれを入れてくれよ。
うわ、きったない靴下だな。におうぞ。
―うるさいよ。早く入れてみろって。
じゃあ、3・2・1。はいよ。
―うわ、ほんとに新品になってるよ。
だろ? でだな、おまえこの中に入ってみないか?
―おい、いきなり何言ってんだよ。正気か?
いやさ、服が新しくなるならそれを着ている人間も新しくなるはずだろ?
―ふざけんな。俺を殺す気か!
大丈夫。そう思って猫の死体で実験してある。
―おい、頼むから正気に戻ってくれよ。
そしたらどうなったと思う? かわいい赤ちゃんが出てきたよ。
大丈夫、死ぬことはない。俺が責任を持って、うっ

―悪いな。


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