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wonderful life
寒い
頭に氷枕を縛りつけられ
脱水しただけの服を着せられ
冬の夜道を歩かされている
抵抗力はそぎ取られてしまった
耐えきれずに喫茶店に入った
コーヒーで体を温め雑誌に目を通す
隣の席に老夫婦が腰を下ろした
しばらくして夫人の口から
「夢みたい」という言葉が漏れた
どういう流れで出たのかはわからない
ただなぜか涙が出そうになった
いつかは言ってみたい言葉だ
それなりに積み重ねたものがあってこそ
口にできるのかもしれない
それにはまず部屋に戻らなくては
もう一度寒空の下に戻らなくては