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ユールの名残

 北欧では冬至に最も近い満月の日に関連してユール Yule (Jol) と呼ばれる冬至祭がおこなわれ、10日ないし12日間がユールの日とされた。900年代にホーコン王 Haakon がイエズスの誕生に敬意をあらわし、古来の習慣であったユール Jul (ビールの一種)を飲む日を12月25日に変更すると定めた。冬至祭は暗い冬から明るくなっていく光を祝う祭りであり、古代ノルウェーの冬至祭は10世紀にキリスト教が入ってきたとき、降誕祭と結びつけられた。

 猪豚をいけにえとして、オーディンをはじめ、フレイ、ニョルド、トールなどの神々に捧げたのち、テーブルを囲んで飲み交わす。豚には古くから穀物霊が宿ると信じられ、ビールと同じく豊穣につながる食べ物であった。

 この時期に訪れる霊や妖精のために、料理をのせたテーブルが用意される。これを忘れると幸せが逃げていくとされ、夜の訪問者をあたたかく迎えるため、一晩中暖炉の火が消えないよう薪がくべられた。

 この時期になると豊作を祈願して麦の穂束が屋根や門口、雪におおわれた畑に立てられる。小鳥が高らかにさえずれば、よい年を迎えることができると信じられていたため、鳥の餌にもなった。麦わらには穀物霊が宿るとされ、山羊の人形などさまざまな飾りや人形がつくられた。毛皮に身をつつみ仮面をかぶった牧夫が、長い角を振りかざした山羊を連れてプレゼントを配って歩く。

 降誕祭の日、聖女ルシアの日、聖トマスの日の天気が良ければ新しい年は好天に恵まれるとされた。降誕祭から公現の日までの12日間の天気から、12か月の天候を占うことができるという。

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