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本に会った
以前雑誌の広告に
ミュージシャンたちの推薦の言葉とともに載っていた
あるコミックの完全復刻版

独特の美意識に彩られた
耽美ではかなげな作風が
熱狂的な支持を受けている

自分とは相容れないと思いながら
まだ見ぬ世界を
見せてくれそうな気がして
ゴシック調の装幀を見つめていた

気がつくと
財布の中身を見つめ
評判を調べてから決めよう
そう思っていた

そんな考えに
嫌気が差して
棚に戻して立ち去った

それから1時間後
CDを売り払った自分は
同じ場所に立っていた

だめなら売り戻せばいい
何度も言い聞かせながら
レジに立った

ひどく申し訳ない気がした

結局
読まずに売ってしまった


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